生命・終身・養老保険制度を解説!解約返戻金を手に入れる方法
1.保険の種類について
2.生命保険の解約と解約返戻金
3.定期保険の解約返戻金
4.終身保険の解約返戻金
5.養老保険の解約返戻金
6.契約転換制度
7.自動振替貸付制度
8.払済保険
9.延長保険
10.中途減額
11.復活
12.まとめ
解約も含めた保険の見直しの仕方について、参考になる情報をお教えさせていだたきます。
1.保険の種類について
保険は、公的保険と私的保険に分かれます。
公的保険は、社会保険とも呼ばれ、労災保険、健康保険、年金保険、雇用保険などです。
これらの保険は法律によって、保険の加入、退会の要件、例えば該当者や加入時期等が法律で決められ、原則として私たちは、保険の解約や見直しなどできません。
ですから、保険料の解約や見直しをできるのは主に私的保険です。
私的保険は、生命保険と損害保険とに大別されていましたが、1990年台後半の金融規制緩和以降、我々個人の消費者にとっては、これら二つの違いがあいまいになりました。
そこで、生命保険を中心にその解約方法や見直しを述べたいの思います。損害保険は基本的に、生命保険の解約ほど複雑ではないからです。
2.生命保険の解約と解約返戻金
生命保険は、私的保険なのですから、普通一般の商取引と同じく、いつでも解約できます。
保険を解約すると、今まで払った保険料は返ってきませんが、解約返戻金が支払われる場合があります。
解約返戻金とは、責任準備金と支払い済み保険料の総額から、保険会社の経費と契約による保障費用をひき、そこに配当を加えた額です。責任準備金とは、保険会社が将来の保険金支払いに備えて積み立てられている財産です。
解約返戻金が支払われる場合があるといったのは、加入者の保険期間、契約年齢、加入年数、保険商品の種類によって、解約返戻金のあるなし、あったとしてもその額が様々だからです。
そして通常は、保険料は保険会社経営のためにあてられたり、また他の被保険者の死亡保険金として支払われたりするので、解約返戻金はこれまで払ってきた保険料の総額よりも少なくなります。
3.定期保険の解約返戻金
満期保険金がない定期保険の責任準備金は少額であるため、解約返戻金も少額かないこともあります。
筆者が、保険の営業をしていて保険契約者に「なんで定期の返戻金はないんだ?」と詰め寄られたことがありました。
保険契約者の大半は、「定期保険のほとんどが、満期保険金がない。だからそのために積み立てておく財産の責任準備金もない。だから解約返戻金もない。」というロジックをなかなか理解できないようです。
4.終身保険の解約返戻金
定期保険では期待できない解約返戻金ですが、終身保険ではそれなりの額が支払われます。
ただし、生命保険の保険料は、銀行の預金のように預けられるわけではなく、その一部は保険会社の経営費や死亡保険金、満期保険金などに充てられます。なので、契約後、経過年数が短い場合は全くないか、あっても少しです。
裏返せば、保険料払い込み満了後に解約返戻金が、払い込み保険料の総額を上回ります。
筆者の保険営業経験からは、「契約年齢35歳、男性、65歳払い込み満了、保険金1000万円、月額保険料21730円」のケース。
このケースでは、解約返戻金が払込保険料総額を上回るのは75歳あたりです。つまり、契約者としては、「65歳に保険料を払い終えたのならば、最低あと10年は生きないと元は取れないということになります。」
こう契約者に告げると、「保険屋は客に早く死んでもらいたいのか」と嫌味を言われたことがあります。
5.養老保険の解約返戻金
生命保険のなかで、最も高額な解約返戻金を期待できるのが養老保険です。
養老保険とは、満期保険金と死亡保険金が同額のものです。満期保険金のために積み立てておく部分があるため、解約返戻金は高額となります。
ただし、養老保険は保険料もそれだけ割高となります。
以上のように、保険を解約して解約返戻金という流れもありますが、できれば万が一のため保険契約は維持したいもの。そこで今後は、解約せず何とか契約を維持する方法を見ていきましょう。
6.契約転換制度
契約転換制度とは、既契約の解約返戻金や積立金などを、新たに加入する保険料の一部に充当し、既契約から新規契約に乗り換えるものです。
中古車の下取りのようなものです。契約転換後は、転換後の予定利率が適用されます。つまり、既契約よりも新規契約時の金利が高ければ、保険料は安くなります。
逆に言えば、昨今のような10年物国債利回りが、0.04%近辺で張り付いている状況では、契約転換制度はお勧めできません。
なのになぜ書いたかというと、保険外交員はこれをしつこく勧めてくるからで、それを断るためにここに書いています。ではなぜ保険外交員たちは、これを勧めるのでしょうか。
保険営業の現場にいた筆者から言うと、彼ら彼女らが歩合制で、契約転換制度をすれば、手っ取り早く営業成績を稼げるからです。
また、彼ら彼女らを管理する本部職員も、彼ら彼女らの営業成績イコール自分の成績となるので、契約転換を強く外交員にさせます。つまり、顧客無視です。私たちはだまされてはいけません。
7.自動振替貸付制度
自動振替貸付制度とは、保険料払込猶予期間が経過しても払い込みがない場合、保険会社が解約返戻金の範囲内で、自動で保険料を立て替えてくれる制度です。
解約返戻金のある保険であること、解約返戻金が未払い保険料より多いことが条件です。
ただし、これは保険会社に対する借金のため、建て替えられた保険料は複利で運用され利息付きで、返せと言ってくるので、やむなく利用する場合は、早く返済しましょう。
また借金の性質なので、契約の際にこの制度を利用しないとすることもできます。
8.払済保険
払済保険とは、保険の種類や保健期間を変えず、保険料の支払いを中止し、解約返戻金をその後の契約の保険期間について、一時払いの保険料に充当することで保障を継続することです。
例えば、30歳男性加入60歳満期保険金1000万月額保険料29600円の月払い養老保険を、40歳で払済保険に変更すると、40歳加入60歳満期保険金380万円の一時払い養老保険になります。
保険料負担を抑え、少なくなるが保険金という安心感を残しておきたい方に向いています。
9.延長保険
延長保険とは、保険料の支払いを中止して、その時点での解約返戻金を一時払いの定期保険の保険料に充当し、それ以後の死亡保障だけを継続する方法です。
一時払いの保険になるので、変更後の保険の支払いは不要になりますが、保険期間は変更前の保険期間より長くなりません。むしろ短くなることがほとんどです。
10.中途減額
中途減額とは、保険金を減額すると当時に、支払う保険料も減額するものです。減額ですので、保険料は払い続けます。
ただ、減額は保険金の一部を解約したことになるので、その部分につき解約返戻金があれば支払われます。
払済保険、延長保険、中途減額をした後に、元の保険料支払いが可能になり、元の保険契約に戻りたいときは、一定の期間内に保険料の支払いを済ませれば、元の保険に戻れます。これを、復旧といいます。
解約もせずに、上述のⅥからⅩもせずに保険料を猶予期間を過ぎて滞納すると、保険契約は失効します。失効すると、失効日から保険会社は保険金支払い義務がなくなります。
11.復活
失効後の一定期間内に、保険会社の承諾を得て、それまでの延滞保険料を払えば、保険は元に戻ります。
注意が必要なのは、解約返戻金を受け取ったあとでは復活はできません。また復活に際し、あらたに医師の検診、告知義務が発生します。
12.まとめ
景気は上向いてると言いますが、それは政府・役人が経済データを見て言う企業サイドの話。
賃金は上がらずじまい。こんな時、家計から削られるのがお父さんのこずかいと保険料ではないでしょうか?
大切なのは以下の点です。
・保険はいつでも解約できる
・解約には解約返戻金がついてくることがある
・解約以外にも生命保険を継続する方法がある
生命保険は何十年も保険料を払い続けることで、お付き合いすることになる大きな買い物です。
簡単に解約といって手放す前に、よく考えてマネーライフを築きましょう。